第23回企画展　戦艦大和・武蔵の進水式展　- 戦前戦後の時代を飾った船たち -

進水式は、船の命名と船体が海に浮かぶ確認を行う、船の誕生を祝う儀式です。船の建造に携わる人々にとって、支綱が切られた瞬間の緊張感と、船が浮かんだ姿を見たときの安堵感は、忘れがたい、大変感慨深いものです。

　進水式では、様々な進水記念品がつくられ、関係者に配布されました。進水記念品は、進水式の支綱切断に使われた斧やハンマー、支綱のほか、絵葉書、徳利、盃、湯呑、皿、文鎮、メダルなどがあります。進水記念品は、その多くが当時の優れた工芸品で、趣のあるデザインとなっており、進水式に臨む人々の気持ちが読み取れます。

　進水記念品のなかで最も多くの人に親しまれたのは絵葉書です。進水記念絵葉書は、明治時代から発行され、戦後も民間の船が進水式を行う際に発行されています。進水記念絵葉書は、進水時に配布されるため、船の完成予想図が描かれている点と船名に由来した絵が描かれている点が特徴です。中には、進水後、船が完成しないまま未成艦となってしまった船の絵葉書もあります。絵葉書のデザインは、海軍工廠内で公募されることもあり、建造に携わった人々の想いが表れているといえます。

　本企画展では、戦艦「大和」・「武蔵」をはじめとする多くの艦船の進水記念品の展示を通して、戦前戦後の時代を飾った船たちの歴史とともに船の建造にかかわった人々の船に対する想いをお伝えしたいと思っています。

出典 www.yamato-museum.com